ウイルス性肝炎・肝硬変・肝がんの患者に対する医療費助成の拡充を求める意見書
(25年12月11日提出)
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ウイルス性肝炎の患者に対する医療費助成は,現在,肝炎治療特別促進事業として,B型・C型肝炎の根治を目的としたインターフェロン治療とB型肝炎の拡散アナログ製剤治療を対象に進められている。一方で,ウイルス性肝炎が原因である肝硬変・肝がんの患者は,高額の医療費を負担せざるを得ないだけでなく,就労不能の方も多く,生活に困難を来している実情もある。
また,身体障害者福祉法上の肝疾患に係る障害認定の基準は,患者の実態に沿ったものとなっておらず,生活支援の実効性を発揮していないとの指摘が肝炎対策推進協議会においてもなされているところである。
肝硬変・肝がんの患者は,毎日120人以上の方が亡くなっており,ウイルス性肝炎・肝硬変・肝がんの患者への支援の拡大・強化の実現が求められている。
特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の成立の際には,「とりわけ肝硬変及び肝がんの患者に対する医療費助成を含む支援の在り方について検討を進めること」との附帯決議がなされており,現在,国においては,同法に基づき着実に取組が進められているが,より一層の取組が必要である。
よって国におかれては,肝硬変・肝がんの患者の実情に鑑み,下記の事項についてより一層の取組を進められるよう強く要望する。
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ウイルス性肝炎が原因である肝硬変・肝がんの患者の治療に対する負担軽減のため,医療費助成制度の創設をはじめとする施策の具体化を図ること。 |
2 |
肝疾患に係る障害認定の基準を緩和し,早急に患者の実態(特に肝硬変・肝がんの患者の病態)に応じた障害者認定制度に改め,必要な生活支援の実現を図ること。 |
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以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣
出生届の記載事項から嫡出子・嫡出でない子の別を削除することを求める意見書
(25年12月11日提出)
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第185回国会において,嫡出でない子への遺産相続について,法定相続分を嫡出子の法定相続分の半分と定める民法第900条第4号ただし書の関係部分を削除する同法の改正が行われた。
しかし,出生届の記載事項から嫡出子・嫡出でない子の別を削除するための戸籍法第49条第2項第1号の規定改正は,同時には行われなかった。
嫡出子であるかどうかを出生届に記載することは,事務処理上,不可欠な記載であるとまでは言えず,嫡出でない子への差別を解消するためには,戸籍法の当該規定を早期に見直すべきである。
よって国におかれては,戸籍法第49条第2項第1号の規定改正を早期に実現されるよう要望する。
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以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,法務大臣
中国による防空識別圏の設定の即時撤回を求める意見書
(25年12月11日提出)
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去る11月23日,中国政府は,「東シナ海防空識別区」を設定し,当該区域を飛行する航空機に対して中国国防部の定める規則を適用するとともに,これに従わない場合には中国軍による「防御的緊急措置」を採る旨を発表した。
中国側のこうした措置は,東シナ海周辺における現状を一方的に変更し,事態をエスカレートさせ,現場海空域において,不測の事態を招きかねない極めて危険なものである。
今回の中国側の措置は,公海上空を飛行する民間航空機を含む全ての航空機に対して,一方的に軍の定めた手続に従うことを強制的に義務付けた。これに従わない場合,軍による対応措置を講じるとしたことは,国際法上の一般原則である,公海上空における飛行の自由の原則を不当に侵害するものであると同時に,アジア太平洋地域,ひいては国際社会全体の平和と安定に対する重大な挑戦である。また,東シナ海は,多数の民間航空機の飛行経路であり,民間航空の秩序及び安全への影響の観点からも大きな問題である。
このような中国側の措置は,我が国に対して何ら効力を有するものではない。
さらに,中国側が設定した空域は,我が国固有の領土である尖閣諸島の領空があたかも「中国の領空」であるかのごとき表示をしており,このような力を背景とした不当な膨張主義を自由・民主主義国家,平和主義国家として我が国は断じて受け入れることはできない。
よって国におかれては,下記の事項を実現されるよう強く要望する。
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公海上空における飛行の自由を妨げるような今回の一切の措置を即時撤回することを,中国政府に対し強く要求すること。 |
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同盟国である米国をはじめ,自由・民主主義,基本的人権,法の支配といった共通の価値観を有する周辺諸国・地域を含む国際社会及び国連をはじめとする国際機関と緊密に連携しつつ,我が国の主権と国民の生命・財産を断固として守り抜くため,毅然たる態度で必要なあらゆる措置を講じること。 |
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以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,外務大臣
公共工事の入札不調を解消する環境整備を求める意見書
(25年12月11日提出)
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全国的な傾向として,公共工事の入札が成立しない「入札不調」が増加している。例えば,報道によれば,国が今年度の4〜6月に北海道で入札した公共工事では,入札不調が昨年同時期の2倍に上っている。入札不調の増加は,東日本大震災の被災地の復興事業や景気回復に伴う建設工事の増加による資材の高騰,工事を担う人材不足が全国的に広がりつつある影響と見られている。
建設業就業者数を見ると,平成23年推計(国土交通省資料)で約497万人となっており,平成4年の619万人から約20パーセント減少している。また,就業者のうち55歳以上が約33パーセント,29歳以下が約12パーセントと高齢化が進行している。
その背景には,労働環境の悪化やダンピング受注の増加がある。これまでの建設投資の大幅な減少により受注競争が激化し,ダンピング受注や下請へのしわ寄せ等で,現場で働く労働者の処遇が悪化するなど,深刻な人材不足への影響が生じている。重労働の割に低賃金なため,中堅・若年層の離職が相次ぎ,就職後3年以内の離職率も製造業の2倍近くに上っている。
震災復興事業は加速させなければならず,また,首都直下地震,南海トラフ巨大地震に備え,老朽化が進む国内全域の公共インフラの防災・減災対策も待ったなしである。そのためにも,必要な公共工事の円滑な入札に対する取組は急務と言える。
京都市では,リーマンショック以降,ダンピング対策など入札制度改革に取り組んでいるところである。
よって国におかれては,入札不調を解消するため,下記の環境整備を早急に進めるよう強く求める。
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地元に精通した施工力がある建設業者が各地域のインフラを安定的・継続的に維持・管理することができるようにするため,地元貢献や技術力に対する加点評価など,経営事項審査の拡充を図るとともに,政府発注の公共工事において多様な入札契約方式を導入すること。 |
2 |
ダンピング対策の徹底など,事業の発注者が元請業者に支払った代金(社会保険料を含む。)が,下請業者や現場で働く職人へ着実に届く流れを創るための取組を推進すること。 |
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公共工事設計労務単価の大幅引上げに伴う賃上げ状況の調査とフォローアップ,職人の人材確保と働く環境の改善に向けた社会保険の加入促進や,政府発注の公共工事において若年者らの確保・育成に取り組む建設業者への加点評価を行うこと。 |
4 |
若年層の就業を促すための建設産業の魅力発信の取組を推進すること。 |
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以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,国土交通大臣
介護保険制度における新たな地域支援事業の導入に係る意見書
(25年12月11日提出)
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現在,国においては,第6期介護保険事業計画を視野に,これまで個別給付として実施してきた介護予防給付について,市町村が実施している地域支援事業に段階的に移行させ,新しい地域支援事業として,包括的に実施する方向で検討が進められている。
介護予防給付やこれまでの地域支援事業については,介護予防を進めるため,市町村の現場で要支援者などに対する取組が進められ,介護サービス受給者のうち2割程度は要支援者であり,介護予防給付も4,000億円を超える額となっており,介護予防に大きな役割を果たすようになってきている。
また,介護予防給付を担う事業所も地域の中で育ってきており,大きな力となっている。
こうした状況の中で,急激な制度変更は,現場の事業者や市町村に大きな混乱を生じさせることになる。
よって国におかれては,下記の項目について,十分配慮のうえ,特段の取組が図られることを強く求める。
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新たな地域支援事業の導入に当たっては,市町村の介護予防事業の機能強化の観点から,市町村の現場で適切に事業を実施することができるよう,手引書の作成,先進的な事例の周知及び説明会や研修会を通じた丁寧な説明の実施を行うこと。 |
2 |
特に,介護給付と併せて事業を実施している事業者などに対して,円滑な事業の移行ができるよう,適切な取組を行うこと。 |
3 |
これまでの地域支援事業については,事業費の上限が設定されているが,新たな地域支援事業への移行に伴い,上限設定について適切に見直すこと。また,事業の詳細については,市町村の裁量で自由に取り組めるよう配慮すること。 |
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新たな地域支援事業の実施に当たっては,住民主体の地域づくりなどの基盤整備が重要であり,こうした市町村における環境整備に合わせて,適切な移行期間を設けるとともに,地域のマネジメント力の強化のために必要な人材の確保等については,消費税財源を有効に活用するなど,安定的な財源確保に努めること。 |
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以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |
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(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣
消費税の軽減税率制度の導入を求める意見書
(25年12月11日提出)
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厳しい財政状況の下,一層本格化する少子高齢社会にあって,社会保障の費用を安定的に確保し,将来にわたって持続可能な社会保障制度を維持・強化していくために,社会保障・税一体改革関連8法案が昨年8月に成立した。
安倍内閣総理大臣は,法律どおり平成26年4月1日から消費税率を5パーセントから8パーセントへ引き上げる決断をし,法律では更に平成27年10月には10パーセントへ引き上げられる予定となっている。
消費税率の引上げは,国民の暮らし,特に中堅・低所得者層の生活に大きく影響を与えることから,8パーセントへの引上げ段階では「簡素な給付措置」が実施される。
しかし,これはあくまでも一時的な給付措置であり,抜本的かつ恒久的な対応が求められている。食料品など生活必需品に「軽減税率制度」の導入を図ることは,逆進性対策としても,国民の消費税に対する理解を得るためにも必要な制度であり,各種世論調査でも約7割が導入を望んでいる。
与党の平成25年度税制改正大綱では,「消費税率の10%引き上げ時に,軽減税率制度を導入することをめざす」とし,「本年12月予定の2014年度与党税制改正決定時までに,関係者の理解を得た上で,結論を得るものとする」と合意されている。
よって国におかれては,下記の事項について速やかに実施することを強く求める。
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「軽減税率制度」の導入へ向けて,与党間の合意に基づき,年内に結論を得るべく鋭意努力すること。 |
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以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
焼却灰溶融施設の契約解除に関する決議
(25年12月11日提出)
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焼却灰溶融施設は,本市にとって唯一の最終処分場である東部山間埋立処分地を長期にわたり活用していくために必要な施設として,京都市会としても,平成22年9月7日に住友重機械工業株式会社の役員を参考人招致するなど,施設の完成に向け,強い関心を持って議論を重ねてきた。
しかしながら,同社の技術力の問題により,当初の工期から3年以上経過してもなお,トラブルが発生し,同社自らが設定した最終期限である平成25年8月末日限りの施設の引渡しを受けることが不可能となったことは誠に遺憾であり,その責めは厳しく問われなければならない。
また,事態を長期化させ,京都市民の負担が生じるようなことは断じて容認できない。
よって住友重機械工業株式会社においては,本市からの契約解除を直ちに受け入れ,本市に対して一切の負担を掛けないよう真摯に対処すると確約した自らの責務を誠実に履行し,企業倫理や企業責任に基づいて,市民の負担が生じることのないよう,損害賠償等の請求に速やかに応じるべきである。 |
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以上,決議する。 |
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